tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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現政権の証券市場観は?

2016年08月31日 15時08分14秒 | 経済
現政権の証券市場観は?
 こんなことを取り上げたくはないと思いながら、やっぱりどうも気になって取り上げてしまいますが、麻生財務相の、証券市場、証券業界についての発言とGPIFの問題です。

 麻生財務相は「債券や株に投資するのは危ないことだという思い込みが国民にある」という多くの株式投資経験者の共感を呼ぶような現状を指摘したうえで、ちょっと冗談めかしたのか、「同期生でも証券会社に勤めているのはやばいやつだった」などと発言されたとのことです。

 恐らく麻生財務相の頭の中には日本の伝統的な金銭感覚がきちんと残っているのでしょう。それは、このブログでも何度か取り上げていますが、「同じ金」でも『額に汗したカネ』と『あぶく銭』を区別するという感覚です。

 今、アメリカ型の経済学、経営学、金融理論、会計基準では、どんな稼ぎ方をしても懐に入れば同じカネ、という意識が一般的ですが、日本には、例えば、「住友家の家憲」にありますように「浮利に趨(はし)らず」という思想があります。勿論「浮利」とは『あぶく銭』のことです。

 おカネを稼ぐにしても、それは由緒正しいおカネでなければならないという趣旨でしょう。極端に言えば、ギャンブルで稼ぐようなことは良くないという考え方です。
 同じ利益でも、その由来=よって来たるところが大事という感覚が明らかです。

 この辺りの正確な考え方は「 キャピタルゲインとインカムゲイン」で書きましたが、私のブログの中でも最もアクセス数の多いものの1つです。
 単純化していえば、
・額に汗したカネ=インカムゲイン=GDPを増やす活動の中からその配分として受け取る利益
・あぶく銭(浮利)=キャピタルゲイン=GDPは増えなくて、カネを自分のところに移転で得る利益
ということでしょう。

 この辺は、日本の文化の中の利益観と、万年赤字に転落してからのアメリカの利益観の違いということかもしれません。

 ところで、証券業界が顧客に勧めるのはほとんどの場合「キャピタルゲイン」ですから、麻生財務相には上のような伝統的な日本人の金銭感覚が残っているという事でしょう。
 それはそれで素晴らしいことかもしれません。しかしそこで気になるのが、昨年来GPIFが内外の株取引で年金原資をすり減らしているという話題です。

 このブログでは、一昨年株式運用の枠を2倍すると安倍政権が決めた時も、「そんな年金原資の作り方が本当に正しいのでしょうか」と指摘し、素人が株に手を出すのは株が上がっている時で、実際に 買った時はピーク (マダはもうなり)という事になりかねませんか、と心配しましたが、本来、日本人の年金は日本人の額に汗した稼ぎ(経済成長)で 原資を稼ぎ出すのが王道でしょう。

 麻生さんの金銭感覚と、安倍さんの金銭感覚はどうも違う所があるようで、お2人は盟友という事ですが、何となく心配です。

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